動作、運動、動きづくり
2012-04-04


春の嵐が吹き荒れました。桜が散らないか心配していましたが、桜の花は見事に風雨に耐え残っていました。
真冬も春も、桜には元気づけられます。志をもつものは風雨程度で簡単に散るわけにはいきません。

さて久々にヒットを見つけました。

成瀬悟策「動作のこころ」誠心書房,2007

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成瀬先生が、動作法を一般向けに書かれた本です。読み物としておもしろい。
体の動きから見た心の解説。竹内敏晴氏とは、また違った観点から動きが語られます。
「動作はそれ自体が勝手に独立的に行われるものではない。生活のため、いまここでの課題に必要な緊張や動きをするという、生活動作であり、常に生活場面における状況の認知・理解に基づく生活目標という方向性を持ち、生きて生活するという色付けを持っている」
「(生まれたばかりの赤ん坊は)初期の内は『息み』が特徴である」
など、保育に示唆を得られることばが並びます。

乳児が生得的な原始反射の動きから、獲得された動きのパターンとなり、そしてその動きに習熟していく。・・・竹内敏晴氏の「ことばがひらかれるとき」を読んだときにも、子どもの体を見る目が変わりましたが、同様に、この本を読みおわると、硬い体をもった子どもの緊張が捉えられるようになるかもしれません。

哲学的な本を読むことがお好きな先生へおすすめです。


さて、この本のなかで紹介されていた論文を探していると、以下の本にたどりつきました。発達協会の月刊誌「発達教育」の連載が本になったものでした。
飯嶋正博「不器用な子どもの動きづくり」かもがわ出版,2005

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わずか33ページに、「不器用さと基礎運動」の深い理論が、わかりやすくまとめられています。
そして後半は、動きづくりの実践が132ページ分。実践と理論のバランスがすばらしい。

不器用には、「片付けや作業の段取りや要領が悪いという認知的側面。人とのやりとりがうまくスムーズにできない社交下手という対人的側面、箸がうまく使えないなどの微細運動のみならず、ボールをうまく蹴れないなど粗大運動が上手にできないという運動的側面」の3つがあると説明されています。
不器用さの原因を、「子どもが自分の心身の自己コントロールの仕方が未学習であるか、誤学習してしまったことによって生じる」と捉え、子どもの動きづくりを支援することによって不器用さを改善するものです。

動きづくりの系統図の最も根幹に位置するのは「腰の動き」。不器用な子どもは腰が動かない。乳児期に、腰を動かす経験をしていないと指摘されています。

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